庄司陽子「悲しみの骸」感想(ネタバレあり)



悲しみの骸(5) (ジュールコミックス)
双葉社
2014-12-17
庄司 陽子

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さて、忘れた頃に更新するこのブログ、今回はあえてこの作品です。
まあ、自分が幻魔大戦の頃からこういう救世主モノが好きってだけですが(^^;)

この宇宙の創造主が今の人間の悪行に愛想を尽かして地球を滅ぼそうとしている・・・のだが、最後のチャンスとして一人の女性を指名し、今の地球のあり方を変えることができれば、破滅は思いとどまろうという事で誕生させられた救世主、蓬莱。
その蓬莱が人々に布教して行く過程での様々な試練、挫折、そして地球は?・・・というドラマなのですが。

いやー、やっぱり救世主モノって描くのが難しいわ。

これ、たかもちげんの「祝福王」を読んだときにも思ったんですけど。
その理由は月影先生が「ガラスの仮面」の中でいみじくも説明している通り
読む方も自分の経験によって読んでいるという事だと思います。

月影先生は

たとえば、バイオリンを一度も見たことのない人に、いくらバイオリンを弾く真似をして見せてもわからないわ

と言っていましたが、これを置き換えると、あまりに救世主の凄さを見せつけると荒唐無稽に感じて読者がついていけないし、といってありきたりの描写ではこれまた陳腐に感じてしまう、という事なんでしょう。
まだそこをうまく描き切った面白い救世主モノって見たことがありません。

が、ですよ。

それにしても、物語の根幹にかかわる???が多すぎやしませんか?と思うわけですね。
蓬莱が救世主として覚醒するまでの試練が無駄に長くて、悲惨。
男に騙され、会社の金を使い込み、風俗で働いてエイズに感染して・・・。
そのくせ覚醒すると、「布教のジャマになる」と使い人(創造主の)によって周囲の人間の都合の悪い記憶は全部消されてしまうし。
唐突に公安が教団の前に立ちふさがって迫害をし始めるし。
蓬莱に会った人は皆感化されて帰依するかのように描かれていながら、教団内部に裏切り者がいるし。
中でも教団崩壊のきっかけを作ったのが熱心な信者による裏切り行為(教団運営資金を産み出すためのサギ)で、それによって悲しみのあまり自ら死を選ぶ・・・
うーむ、凡人には到底理解できないストーリー展開ですわ。

いや、言いたかったテーマは立派だし、それを表現しようとする意欲にも頭は下がりますが、やはり

マンガという表現媒体を使用する以上、マンガとして成立する読み物になっていないと、読者には伝わらんぞ

と思うわけですね。

かくして、ここにまたひとつ、討ち死にした救世主マンガが誕生したのでありました。

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